筆者の主張は形を変えて何度も繰り返される!
評論文、論理的な文章の問題を解く上では筆者の主張を見分けることが重要です。
評論文、論理的な文章において筆者の主張(論点)を見分けるには、繰り返し、あるいは形や角度を変えて論じられているものを掴むのが一番なのです。
その見分ける方法は大きく分けて2つあります。
1つ目が同じ・似たような表現を見つける方法。
2つ目が対比された表現を見つける方法。
今回は、筆者の主張の見分け方の中でも「対比された表現を見つける方法」についてのお話です。
対比表現を見つける!
こちらの記事(【現代文】筆者の主張は形を変えて繰り返される!主張の見分け方①【評論文】)で、内容的には同じ、もしくは似ている(同じに近い)表現を見つけることが重要と書きました。
ですが、これと同じくらい大事なのが「対比された表現を見つける」こと。
内容的に対比されたものが、前後で互いに対応することも、繰り返し主張されているものを逆の角度から捉える上でとても重要なのです。
対比表現のパターンは主に次の3つがあります。
1.対義語(意義が反対の語句を使う)
例:日本語は… →寡黙である。/ヨーロッパの言語は… →雄弁である。
2:対義語の類義語(対義語と意義の似た言葉を使う)
例:日本語は… →寡黙である。/線状の、可視的な論理は… →相手への不信に立脚している。
3:対義語の言い換え(対義語とは別の言い回しを使う)
例:日本語は… →寡黙である。/表現の建築学… →言葉は積み重ね構築される。
(例の参考:外山滋比古『日本語の特質』より)
注意!内容の確認が必要な表現
対比表現は主に上記の3つですが、筆者の主張を見分ける上で注意すべき表現もあるのです。
1.明瞭な否定(「ない」や「無理だ」のように否定的な語句で結ぶ)
例:人間は決して万能ではない。
2.婉曲な否定(肯定+疑問で反語「~だろうか(、いいや、~でない)」になる)
例:人間は万能だろうか。(=万能ではない)
3.二重否定(否定を二度重ねて肯定にする)
例:人間は無力でないこともない。(=人間は無力だ)
4.一時的肯定(いったん肯定してから否定する)
例:人間の能力は多岐にわたる。しかし…。
5:婉曲な主張(否定+疑問で反語「~だろうか(、いや~である)」になる)
人間は自然現象を前に無力なのではなかろうか。(=人間は自然現象を前に無力である)
6:明瞭な主張(「~である」のように肯定的な語句で結ぶ)
人間は自然現象を前に無力である。
このように、同じ・見たような表現と同時に、対比された表現をもとに、評論文、論理的な文章の中で繰り返されている筆者の主張を捉えていくことが重要なのです。
形だけに頼りきりになってはいけませんが、以上のような型を知り、内容を検討しつつ読み進めましょう。
まとめ
評論文、論理的な文章において、筆者の主張は繰り返し、形や角度を変えて論じられる!
対比表現を押さえて筆者の主張を見分けよう!
対比表現のパターンは「対義語」、「対義語の類義語」、「対義語の言い換え」の3つ!