塾長の笑って天才ブログ

物理の知識を箱罠狩猟で活かす

実体験は学びの宝庫です

【箱罠狩猟】

8月某日、祖母の畑に仕掛けた箱罠にイノシシがかかりました。

推定60kgのメス、上物です。 電気槍で失神させ、速やかに止めをさします。
役所への申請作業を済ませ、解体します。
※現在狩猟期間外ですが、許可を得て捕獲しております。
場所は元海水浴場近くの畑で、シーズン中ということもありそこそこの海水浴客でにぎわっていました。
海水浴客にいらぬ心配をかけないように、内心コソコソ、実際には堂々とイノシシを作業場(元 海の家)まで運びます。
解体作業はいつも大叔父がやってくれます。
私が手伝うのは2回目で、まだまだ手元はおぼつきません。
解体作業は片付けまで含めると約4時間かかりました。
大仕事です。

【なんでも学びにできる】

今回私はある目的をもって作業を行いました。
その目的は実体験の中から「学び」を見つけることです。
とりわけ学校の勉強でも実はやったよねっていう事柄を意識してみました。

イノシシの解体作業は言ってしまえば、 「皮を剥いで、部位ごとに肉を切り分ける」 これだけです。

しかしその中には実体験でしか感じられない多くの学びがあります。

【体の使い方】

自分の体で簡単に一番力が出せるのはどこでしょうか。
握力でも腕力でもありません。
それは自分の体重です。

かたいねじを外すときや、前足の関節を外すとき(普段こういう場面はない…)などに腕力を使って外そうとしがちですが、それだとしんどいですし、ケガにつながることもあります。
そういう時は、まず対象を安定した台または床・地面に置きます。そして道具を固定し、力を加えるべき方向に体重をかけるだけです。簡単に対象に力を加えることができます。

それでもびくともしない場合は、道具を工夫します。
「てこの原理」という言葉を聞いたことがあると思います。 支点・力点・作用点でおなじみのやつです。
支点から力点までの距離が長くなれば長くなるほど、作用点にかかる力は強くすることができます。

この原理をそのまま使うだけです。
ねじ締めの場合は道具を長くすれば簡単にネジを回すことができますね。

簡単なようですが、高校物理を習った人でも上記のような工夫が思いつかないようです。
経験してしまえば一瞬で理解できますし、いろんなところで応用が利きます。

【道具の選び方】

皮を剥ぐ作業でこんなことがありました。

皮を剥ぐ際には皮を引っ張りながら、皮と皮下脂肪の間に刃物を入れていくのですが、この皮を引っ張るというのがなかなかの曲者です。

皮の下には皮下脂肪があります。
しっかり掴もうにも、脂肪で手が滑ったり、ペンチで持ってもかなりの力が必要でした。  
ここで一つ考えられる工夫があります。
道具の形状を最適なものに変えることです。

今回使用したのは、電工ペンチと呼ばれるペンチで、挟む部分が長方形でギザギザの溝が彫ってあるものです。これでは滑って非常に苦労しました。

そこで電工ペンチではなく、鍛冶屋さんとかでよく使われる「やっとこ」を使う案です。
やっとこの挟む部分は電工ペンチよりも面積が小さいため、同じ力でも大きな圧力をかけることができます。

【実体験は学びの宝庫です】

この他にも、マダニの恐ろしさやお肉の部位など、学べることは多くあります。
準備・片付けの段取りなども、見えにくいところですが大切な学びですね。

今回のイノシシの解体作業は肉体労働に思えて、実のところは頭を使う場面がたくさんありました。
文:倉田真志

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