作文なら書いたことはあるけど…小論文とどう違うの?
推薦入試を控え、小論文対策を意識した方なら一度は気になることなのではないでしょうか。
今回は作文と小論文の違いを2つお話しします。
【作文と小論文の違い その1】目的が違う
作文は文を作ることが目的です。ある出来事・経験やテーマについて、自分の思いを自由に書いてもよいのです。
作文に書くのは自分の思いを書き連ねてよい文章ですので、根拠などは不要です。
例えば「私は犬が好きです。先日飼っている犬とドッグランに行きました。犬は楽しそうでした。かわいかったです。」
この文章は、作文として問題はありません。
一方、小論文は論じることが目的です。あるテーマに対する自分の考えや思いを、筋道を立てて説明する必要があります。
小論文は論じることが目的ですので、自分の主張・意見が明確である必要があります。ここが作文との大きな違いです。
上記の例では、犬が好きであることは単なる好みの話、犬が可愛かったことはやドッグランに行った感想であって、主張・意見とは異なりますので、小論文としては1点にもなりません。
ですが、例えばこれが以下のような文章であった場合、小論文としてみなすことは可能です。
「近年、芸能人やインフルエンサーの影響や、自粛ストレスの解消・癒しを求めて、ペットを飼い始める人が増えてきた。一方で飼育の難しさや経済的負担による飼育放棄や殺処分が問題になっている。このような悲劇を発生させない対策が必要である。個人でできる事としては、ペットの購入を希望する人に対して、あらかじめ飼育にかかる一月当たりの費用の概算を説明する、躾が不十分だった場合やペットがストレスを感じた場合に飼い主や近隣住民にどのような影響を及ぼす可能性があるかを説明するなどが挙げられる。こういった、ペットを飼う前の対策が重要である。」
なぜこれを小論文としてみなせるのか。
「飼育の難しさや経済的負担による飼育放棄や殺処分の増加」という問題を挙げ、一人でも可能な具体的な対応策を提示し、「育児放棄や殺処分の増加を防ぐため、ペットを飼う前の対策が必要だ」という意見を述べているからなのです。
【作文と小論文の違い その2】採点者が違う
当たり前だろうと思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は見落としがちなポイントなのですが、採点者が誰なのか、どんな視点で採点するのかを意識する必要があるのです。
作文の場合は学校の先生=教育者が採点します。
例えば大学入試の小論文の場合は大学の教員=学者が採点を行います。
研究においては独自性のある論文を書くことが求められます。独自の発想・独自の視点をもった人かどうか、そしてそれを論じるだけの力があるかどうかが求められます。
小論文を書いたとき、いかにも「いい子」な意見を書く子がいます。
例えば「一人一人が平和について考える必要があると思います。」という意見。
作文であればこれ単体でも問題ありませんが、大学入試の小論文であれば、この意見は意味を持ちません。
考える必要があると思うのであれば、一人一人が平和について考えるためにはどのような取り組みが必要なのかという具体的な方法を書く必要があります。
「戦争をやめさせるために、一人一人が平和について考える必要があると思います。」という風に書き換える場合も同様です。
戦争が行われている事例をピックアップし、その原因を分析・言及し、実際に効果があるかどうかにかかわらず具体的な対策を書く必要があります。
小論文の場合、具体的な事を書かなければ何も述べていないのと同じと見なされる可能性があるのです。
このような「いい子」な書き方は、大学入試の小論文には求められていないのです。
まとめ
作文と小論文は目的が違う! 小論文は論じることが目的。自分の主張・意見を明確に。
大学入試の小論文は学者が採点する! 独自な発想・意見や、それを論じる力のある学生を求めている。