塾長の笑って天才ブログ

文脈って? 言葉の意味は文脈で決まる!

「文脈でわかるじゃん!」
「ふーん(わからん…)」

こういう経験はありませんか?
私も学生時代に「その文脈の読み方がわからないのだけど…」と困惑したことが何度かあります。

今回は、文脈とその重要性についてお話します。

 

文脈って?


文脈とは、狭い意味でいうと「一連の情報(言葉や表現、イラストなど)のつながり」を指します。

文脈で判断する一例をご紹介します。夏目漱石の『こころ』からの引用です。

「君は今あの男と女を見て、冷評(ひやか)しましたね。あの冷評(ひやかし)のうちには君が恋を求めながら相手を得られないという不快の声が交まじっていましょう」
「そんな風ふうに聞こえましたか」
「聞こえました。恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし……しかし君、恋は罪悪ですよ。解(わか)っていますか」
(引用元:夏目漱石(1914)『こころ』青空文庫 https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html

「不快な声」とマイナス評価をし、「(そんな風に)聞こえました」と言った後「恋の満足を味わっている人は」と、君とは対照的な存在を引き合いに出していることから「恋の満足を味わっている人なら、きっとプラスの意味に捉えられる声を発するのだろうな」と予測しながら読むことが可能です。

もしも「恋の満足を味わっている人はもっと不快な声を出すものです。」という文章になっていたとしたら、「不快な声」とは反対の意味がくるはずだという予想を裏切られ、「ええ!? そうなるの!? なんで!?」と思うのではないでしょうか。

このように文と文のつながりのことを文脈と言い、一連の情報(言葉や表現、イラストなど)がどのような状況で使われているか、どのような背景や前提条件があるかを読み取り、それを踏まえた上で情報の意味を読み取ることを「文脈を読む」と言います。

文脈で単語の意味を推測できる?

「文脈でわかる」という言葉の通り、知らない言葉や表現でも、文脈(=前後の流れ)によって意味を推測することはできます。
ですがそれにも限度はありますし、推測した意味が正しいとは限りません。

例えば「突然、何かがぶつかったような音がした。それを聞いた彼はおもむろに立ち上がった。」という文章では「おもむろに」の意味はわかりません。

「何かがぶつかった音を聞いて立ち上がった。ということは、きっと彼は驚いて立ち上がったのだろう。だから『おもむろに』は『急いで』という意味なのだろう」と、推測した方もいるのではないでしょうか。
ですが「おもむろに(徐に)」の意味は「ゆっくりとした様子」という意味なので、「急いで」という推測は誤りなのです。

このように推測できない場合や推測が間違っている場合もあるので、言葉や表現の意味を辞書で調べて理解することはとても重要です。

では、なぜ文脈を読む力が重要になるのか。
一連の情報(言葉や表現、イラストなど)の意味が、文脈(=前後の流れ)によって変化する場合や、一見して相反する意味を持つ単語が存在する場合などがあるのです。

 

文脈を読む力の重要性


①文脈(=前後の流れ)によって言葉や表現、イラストなどの意味が変化する場合
例えば「ご飯」。
A お腹空いたな。ご飯は何が食べたい?
B 今日はカレーにしよう。ご飯を3合炊いておいてね。
同じ「ご飯」でも、Aは献立、Bはお米のことを指していますね。
このように、文脈(=前後の流れ)によって同じ言葉でも意味が変化します。

②一見して相反する意味を持つ単語が存在する場合
これは主に古文単語が当てはまります。
例えば「いみじ」。この単語のもともとのイメージは「(程度が)はなはだしい」というもので、プラスマイナスどちらの意味を含んでいます。
これが文脈(=その言葉を発する状況や感情)によって、「(たいそう)すばらしい」というプラスイメージになったり「(たいそう)ひどい」というマイナスイメージになったりするのです。

ここで問題です。次の現代語訳の「…」に当てはまるのは、A、B、Cのどれでしょうか。
「あだし野の露消ゆるときなく、鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めこそいみじけれ。」(徒然草 第7段)

「あだし野の露は消えるときがなく、鳥辺山の煙が立ち去らないで(いるように)、(人が)いつまでも死なずに住み続ける習いであったならば、もののあわれ(=無常観)などというものはないだろう。人生は限りがあるからこそ、…」
A はなはだしい  B すばらしい  C ひどい

 

Aの「はなはだしい」だと、どういう意味で、何がはなはだしいのかがわかりません。
「ヤバい」もそうですよね。「これヤバい!」と言われても、何がヤバいのか、どうしてヤバいのかが理解できません。

Bの「すばらしい」だと、「人が死なないでずっと生き続けるならば情趣もないだろう。」→「人生は限りがあるからこそすばらしい」という文脈になります。
「人が死なない=情趣もない」という文章から命に限りがある方がよいと考えていることが推測できますし、ここから「人生は限りがあるからこそすばらしい」という文章への流れもスムーズです。
そのため、この場合は「B すばらしい」という意味が当てはまります。

Cの「ひどい」だと、「人が死なないでずっと生き続けるならば情趣もないだろう。」→「人生は限りがあるからこそひどい」という文脈になってしまいます。
Bで見た通り、文脈が合っていないので誤りですね。

このように、「文脈を読む」ことは読解において重要なのです。

 

まとめ


文脈とは一連の情報(言葉や表現、イラストなど)のつながりのこと!
文脈(=前後の流れ)を読み取ることによって一連の情報(言葉や表現、イラストなど)がどのような意味でその言葉を使われているのかを把握することが、読解において重要になる!

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